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君はキレイだ。
とてもキレイだ。
僕は君に見惚れてしまう。

君の仕草。
君の声。
君の表情。
君の吐息。
全てがキレイだ。
キレイすぎて、触れられない。
キレイすぎて、遠く感じる。
君は僕から何万光年も離れた、一つのキラメキ。
今はただ、それだけで満足。

君の溜息。
君の涙。
君の悲しみ。
君の憂鬱。
全てがキレイだ。
キレイすぎるけど、輝きを失った。
キレイすぎるけど、近く感じる。
君は僕の近くに堕ちて来た、恋敗れた哀れなホシの一粒。
今はただ、それだけで満足。

君の瞳。
君の苦しみ。
君の呼吸。
君の首筋。
全てがキレイだ。
キレイだけど、僕の手の中。
キレイだけど、僕の物。
君は僕の手の中で、最後の輝きを放つ一条のヒカリ。
今はただ、それだけで満足。

君への言葉。
君への涙。
君への花束。
君への死化粧。
全てがキレイだ。
キレイだけど、もう輝かない。
キレイだけど、もう僕の中にしかいない。
君は僕の中に閉じ込められた、キレイな鳥籠の鳥。
もう、満足。
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春を彩る桜の花びらよ、もっともっと咲いてくれ。
そしてどうか、僕らの始まりを祝っておくれ。


春が来るたびに僕は思い出す。
君を初めて見たあの時を
君と初めて交わしたあの言葉を
君が初めて見せてくれたあの笑顔を。

夏が来るたびに僕は思い出す。
君と初めて隣り合って歩いたあの砂浜を
君と初めて見たあの花火を
君と初めてお土産を選んだあの店を。

秋が来るたびに僕は思い出す。
君と初めて手をつないで歩いたあの街道を
君と初めて見つめ合った公園を
君が初めて僕にくれたあの口づけを。

冬が来るたびに僕は思い出す。
君と初めてバスを待ったあの停留所を
君と初めて二人きりで行ったあの旅行を
君を初めて抱いたあの夜を。


僕には全てが輝いて見えた。
モノクロな物は世界のどこにも見当たらなかった。
僕には全てが新しく見えた。
見慣れた物は世界のどこにも在り得なかった。
僕には全てが素晴らしく見えた。
意味のないモノは世界のどこにも、なかったんだ。

ふたりを裂くものなんて何もないと思っていた。
そんな事があるとすら考えていなかった。
けれどそれは身近にあった。
きっと何より僕らに近いもの。

君はあの時も笑っていたね。
少し遠くなるだけだからと、涙が止まらない僕を抱きすくめてくれたよね。
でも、僕には見えていたよ。
ふたりの行く先が。ふたりの結末が。僕の成れの果てが。

時間が止まって欲しかった。
時計の音が怖かった。
未来を捨てても君のそばにいたかった。


咲き誇る桜の花びらよ、もっともっと散ってくれ。
そしてどうか、僕の涙を隠しておくれ。
事故で死んだ猫を見た。

だらしなく内蔵を垂れ流し
蛆に身体を犯されて
それでもそこに在る物質は
その猫が在った証なのか。
ただ他の何物でもない屍なのか
僕の合わせ鏡を通した姿なのか。

僕は今ここに在る。
誰かの屍を喰らってここに在る。
僕は血腥く今を生きていく。
―いつか、誰かに喰われる為に。

イツカ消エテ無クナルソノ日マデ
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